助成金制度 

助成金制度も設けられた同一労働同一賃金の実施

同一労働同一賃金をガイドラインに置くパートタイム・有期雇用労働法(パート・有期法)は、施行期日を大企業は2020年4月、中小企業は2021年4月と差をつけています。これは、会社の規模が小さいほど、待遇改善を実施するのに準備が必要だろう、という配慮からです。

大企業と中小企業は、業種と資本金、常時使用労働者数によって決まる

同一労働同一賃金が2021年4月に施行される中小企業なのか、2020年4月から施行される大企業なのか、は、企業単位で決まります。業種によって資本金(または出資総額)と、常時使用する労働者数で判断されます。

中小企業かどうかは、中小企業基本法での定義と同じです

この場合の中小企業は、中小企業基本法での定義に合わせたものです。製造、建設、運輸業その他の企業においては、資本金(あるいは出資総額)が3億円以下、または常時使用する労働者300人以下が条件(小売業であれば資本金5000万円以下または常時使用労働者数が50人以下、サービス業は、資本金は小売業と同じか、または常時使用労働者数が100人以下、卸売業なら資本金1億円以下または、常時使用労働者300人以下)です。

中小企業でも、準備は早いにこしたことはない

日本の企業の圧倒的多数は中小企業です。2016年の統計でも企業数358万8000のうち中小企業は99.7%で、大企業は0.3%に当たる1万1000程度。だからとはいえ、同一労働同一賃金に向けておこなう作業は同じ。準備は早いにこしたことはないのです。

キャリアアップ助成金制度が創設されます

中小企業に限りませんが、人件費増に悩む企業にとっては、法律変更に伴うとはいえ、コスト増には違いありません。このため国の助成金制度が設けられ、雇用保険法の雇用安定事業としておこなわれます。

7つのコース、該当しそうな場合は、早めに都道府県労働局に

助成金は、有期雇用労働者など非正規雇用者をキャリアアップする企業に対して助成する制度です。正社員へ転換する「正社員化コース」以外にも、賃金規定を変えて適用するコース、健康診断(労働安全衛生法上の義務以外の一定診断)を新しく規定して適用するコース、正規雇用者と共通の職務に応じた賃金規定を新たに設け適用するコース、正規雇用者と共通の諸手当制度を設け適用するコースなど7つあります。

正社員コースの場合の正社員とは、フルタイムのいわゆる正社員だけでなく、勤務地や職務を限定する正社員や、短時間正社員(総称して多様な正社員と呼ぶ)も含みます。

助成金額は、有期雇用労働者を正社員(多様な正社員を含む)に転換した中小企業の場合で、1人当たり57万円(生産性の向上が認められる場合72万円)などが最高額クラスになっています。

キャリアアップ計画が必要です

正社員化コースでも、それ以外の処遇改善コースでもあらかじめ社内で「キャリアアップ計画」を労働組合など従業員の意見を採り入れて作らなければなりません。同一労働同一賃金に向けては社内合意が必要だということです。キャリアアップ計画については、都道府県労働局やハローワークでも相談に乗ってくれます。